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 ゴーゴーバーの女の子と話をするとき、「あなたの出身地はどこ?」とよく尋ねます。ゴーゴーバーの場合、たいていはイサン地方の県名が返ってきます。その中で、「ブリラム」という答が返ってくると、なぜか胸がキュンとなって、その子のことが急に身近に感じられるのです。それは、ある女の子との出会いがあったからです。


 タイの東北部、イサン地方の中の南の方に、ブリラムという県があります。有名なスリン県の隣りで、カンボジアと接しています。イサン出身の人は、自分たちはイサン人だという言い方をしますが、その多くはラオスから移住してきた人々のようです。イサンの言葉はラオス語に近いとか。一方で、イサン地方の南部の地域は、カンボジアの影響を受けています。カンボジア語に近い言葉を使っているようで、イサン語とは少し違う感じです。
 
 「ブリラム」という県名が印象に残るようになったのは、5年くらい前からです。レインボー1のステージの後の方で、目立たないように踊っていた子がいました。背が小さくて、かわいい顔をした女の子でした。その子のことが、どうしても気になって仕方ありません。それで、呼んで話をすることにしました。
 
 名前はネーン。ブリラムから来たと言っていました。あとになって思ったのですが、どことなく初恋の人の面影があったのです。それで彼女に興味を持ったのかもしれません。それから時々会いましたが、ネーンと特別な関係になることはありませんでした。初恋の思い出に浸っていただけで、彼女をそういう相手として見ることはできなかったのです。
 
 いつしかネーンは店を辞め、また歳月が流れました。私もすっかりネーンのことを忘れてましたが、昨年か一昨年だったか、激太りしたネーンと再会したのです。最初は誰だかわかりませんでしたが、その笑顔には見覚えがありました。
 
 それからしばらくして、ネーンはレインボー1に復帰しました。相変わらずステージの後の方で、ひっそりと踊っています。自分から売り込むこともしないし、少し痩せたとはいえ、まだ太めだったので、客も少なかったようです。売れっ子のフォンちゃんと仲がいいようで、よく一緒にいました。
 
 最近、またネーンを見なくなったなぁと思ってたら、レインボー4で見つけました。聞くと、レインボー1は友達がいないから移ってきたのだとか。ブリラム出身はフォンちゃんだけで、彼女はすぐにペイバーされるから、いつもひとりぼっちだったのだと。
 
 一時期、仕事を辞めてたときは、日本人の彼氏がいたのだとか。彼は日本に一緒に行くことや、子供を作ることを望んだのに対して、ネーンはそれを受け入れられなかったのだと。子供は30歳くらいになってからでいい。日本へは行きたくない。それで、最終的に別れることになったようでした。
 
 ネーンももう25歳。ゴーゴーガールの中では、もう若い方ではありません。スタイルも、やや太めです。相変わらずステージの後の方で、目立たないように踊っています。「キーアーイ(恥ずかしがりや)だから」と、笑顔で話してくれました。その愛くるしい笑顔を見てると、やはりネーンは私にとって、特別な存在だったのかもしれないなと思えてくるのでした。