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 クーデターが起こってから、1ヶ月以上が経過しました。夜間外出禁止令が解除されてからも、すでに2週間が経っています。その間、それほど大きな出来事も起こっていません。欧米は建前上、タイに対する制裁措置を発令しています。渡航の自粛勧告や軍事的な支援の中止です。しかし、タイの国民からは、軍政は割りと好感を持たれているようです。
 
 
 軍政が行った良い点は、事実上の米の買取制度を廃止することにしたことと、未払い分に関しては支払うと決めたことです。それと、憲法裁が違憲だとしたために中止に追い込まれていた総額2.4兆バーツの大型公共事業を復活させたこと。これは鉄道や道路網の整備や治水事業で、これからタイが伸びていくためには不可欠だと思われます。
 
 2.4兆バーツと言うと、日本円で約7.6兆円になります。東京の予算(平成26年度で6.7兆円)をやや上回るくらいなものですが、タイの国家予算とほぼ同額なのです。東京都知事の権限が、いかに強大かということがよくわかりますね。
 
 
 民主主義でないことのメリットは、トップの指示で何でもすぐに決まってしまうこと。つまり決定にかかる時間的なロスが少なくて済みます。日本も江戸時代までは、このように専制的な政治でしたから、トップが善政を行えば、それはそれは住民にとって良い政治になったのです。
 
 一方、独裁のデメリットは、他からの批判を受けなかったり、また批判をされても意に介することなく好き勝手にできるため、無謀なことをやったり、一部の者だけが利益を被るようなことが平気でできるということです。
 
 今のところそういう点では、小学生に無料で支給するとしたタブレットの配布を中止したことが問題です。反タクシン派の地盤である南部や中部はすでに配布が終わっていて、タクシン派の地盤である北部や東北部が未配布だからです。
 
 
 また、報道統制は相変わらずシビアに行われています。全体主義国家が支配する未来を描いたジョージ・オーウェルの小説「1984」を読んでいた男性や、「リスペクト・マイ・ボート」と印刷されたTシャツを着ていた女性らが軍事政権に批判的だとして検挙されましたが、そのことは地元メディアは一切報道していません。
 
 映画「ハンガー・ゲーム」で行っていた、体制を批判する意思表示として3本の指を立てることが、今のタイでは禁止事項になっています。その行為をしただけで、軍事政権を批判しているとして検挙されます。ですからタイに遊びに来られたときなど、不用意に3本指を立てないでくださいね。
 
 また軍事政権は、密告を奨励しています。たとえば3本指を立てている人を見つけた場合は、その写真を撮って送ると、500バーツの報奨金を支払う制度を導入することも検討しているとか。まるで戦時中の日本のようです。
 
 
 こういう点を知ると、見た目は平穏ですけど、やはりクーデターによって樹立した軍事政権の支配下にあるのだなあと思います。自由がないというのは、本当に窮屈で暮らしにくいことですから。
 
 タイでは元々、王室を批判することはタブーで、それをやると罪に問われます。しかし、進んでいると思われているヨーロッパでも、ホロコーストに対するタブーがあって、学術的であってもホロコーストの存在を否定するような言論は、処罰対象となるのです。
 
 その点、今の日本は本当に自由ですね。少なくとも言論の自由があると思います。皇室批判だって、それで処罰されることはありません。まあ右翼から付け狙われたりするかもしれませんが。都議会のセクハラ・ヤジだって、国民から批判されるとしても、刑事罰を問われることはないでしょう。
 
 
 タイをはじめ南国の良さは、やはりゆるやかなところだと思います。許容範囲が広いということですね。時間のルーズさも、午前とか午後とか、場合によっては何日くらいという大雑把さで決めれば事足りたからでしょう。制限が少ないということは、自由だということです。その自由さが、快適にさせてくれるのです。
 
 その点日本は、「かくあるべし」という規範が強すぎるように思います。エスカレーターは右側を空ける「べき」なのですね。「空けた方がいいよ」くらいであれば、ゆるやかでいいんですけどね。流れに乗って歩く「べき」であり、空気を読む「べき」なのです。そういうのは、とても窮屈だなあと感じます。
 
 もちろん、そういうのがすべて悪いことだなんて言いませんよ。良い点もあるし、悪い点もあるでしょう。ただ窮屈だと私が感じるだけです。そう感じない人に、感じる「べき」だなんて思いませんから。(笑)
 
 
 ところが最近、タイでもエスカレーターの片側を空けるようにと指示する表示が、エスカレーターに貼られるようになりました。最初はBTS(高架鉄道)だけだったのですが、商用施設のエスカレーターにも見かけるようになりました。まだそれほど厳格に守られている感じはしませんが、タイも段々と窮屈になってしまうのでしょうか。
 
 何でもありだから、自分がやりたいようにできる。私はそれが、タイの魅力だと思っています。夜遊びにしたってそうです。特に制限が少ないのがゴーゴーバーや援交カフェ。自分のスタイルで遊んで、それでいいのですから。今のところ、軍事政権下でも夜遊びに対する規制はないので、それが私にとってはもっとも嬉しいことかもしれませんね。