ベッドの中で、オレは何度か目覚めては眠ることを繰り返した。
最後に目覚めたときは、時計はもう5時を回っていた。
ベッドメイクに来たらしいが、ドアが開かないのであきらめて帰ったような記憶がある。
 
 
まだ少し頭が痛いが、起きなければと思った。
体は寝たがっていたが、無理をして起きてシャワーを浴びた。
そんなにお腹はすいていない。
 
 
ソファーに腰を下ろし、テレビをつけた。
特に何が見たいということではなく、ただ少し騒々しさがほしかった。
 
 
ミネラルウォーターをペットボトルのままごくごくと飲んだ。
シャワーを浴びたせいか、さっきよりは頭もすっきりしている。
これなら今晩も遊びに出られそうだ。
そう思うと、だんだんと元気が出てきた。
 
 
 
しばらく部屋で休んだ後、オレはホテルの外へ出た。
とりあえずどこかで腹ごしらえをするつもりだ。
 
 
スクンビット通りからソイ15に入ってきたタクシーを止めて乗り込んだ。
「スクンビット・ソイ4へ行ってくれ」
そう言うと、運転手は無言のままタクシーを発車させた。
 
 
バンコクのタクシー運転手は、だいたい無愛想だ。
行き先をわかったのかわかってないのか、それすらもわからない。
ソイ15を直進し、その先を左折したところで少し安心した。
どうやら行き方をわかっているようだ。
 
 
ソイ4は、有名なナナプラザがある通りだ。
ソイ15からは、スクンビット通りに出て左折してからUターンして行く方法もある。
オレはたいてい、ソイからソイへと移動してソイ3まで出て、スクンビットを横断してソイ4へ入るルートを使う。
狭い路地を通るので、自分では運転したくないルートだ。
 
 
タクシーはスムーズにソイ3へと抜けた。
スクンビット通りの信号に数回ひかかったが、間もなく横断してソイ4に入った。
交差点から50mほど進んだところでタクシーを降りた。
右手にあるナナホテルを、少し過ぎた辺りだ。
ナナホテルの向かいにあるのがナナプラザになる。
 
 
オレは通りを横切って、バスストップというレストランに入った。
まだそれほど客はいない。
従業員も暇そうにしていた。
 
 
カウンターに座り、メニューを見て注文した。
「カオパットムー。レコー、コークドゥーアイ。」
豚肉入りのチャーハンとコカコーラだ。
 
 
テレビでは、サッカーの試合を放送していた。
タイ人は、本当にサッカーが好きだ。
ヨーロッパのリーグがほとんどだが、真剣に応援する。
金が懸かっているという事情もあるのだろう。
 
 
まだ少ないが、ここには若い女性の従業員が多い。
従業員と呼ぶのかどうかよくわからないが、客を案内したり、食事を運んだりなどもする。
客が呼べば話し相手にもなってくれて、一緒に食事をすることもできる。
もちろん交渉次第で、連れて帰ることも可能だ。
 
 
ナナプラザの敷地の中央にオープンエアのバーがあるが、そこも同じようなものだ。
ただ飲むだけでなく、交渉して連れ帰ることができるというシステムだ。
まあそれを言えば、この界隈に限らず、そういうスタイルの店は多い。
 
 
たとえばプールバーもそうだ。
一人で遊びに行っても、その店の女の子がゲームの相手をしてくれる。
これも交渉次第で連れ出すことができる。
まあ、だいたい西洋人が飲んだり遊んだりするようなところは、そうなっていると思って間違いないだろう。
バンコクにはほとんどなくなったようだが、居酒屋でも同じようなところがある。
 
 
考えてみれば、テルメだけが援助交際の場ではないのだ。
ただ、ほとんどその目的だけに使われているかどうかの違いだ。
 
 
運ばれてきたチャーハンを食べながら、ときおり店内を見回してみた。
まだ時間が早いせいもあるが、特に興味を引く女の子もいないようだった。
食べ終わったらナナプラザへ行ってみよう。
そう思いながら、ビンに入ったコーラを飲んだ。