タクシーは、ものの5分もかからずにアソーク通りとの交差点を駆け抜けた。
次のソイで左折し、100mほど走って止まった。
ここがソイカウボーイの入り口だ。
オレは20バーツ札2枚を運転手に渡して、タクシーを降りた。
 
 
ソイカウボーイは、アソーク通りとスクンビット・ソイ23の間を結ぶ通りの一つだ。
アソーク通りは、別名スクンビット・ソイ21になる。
スクンビット通りの北側は奇数のソイが並ぶので、ソイ21の次がソイ23になっているのだ。
 
 
ソイカウボーイに一歩足を踏み入れると、そのけばけばしいネオンの明るさに圧倒される。
近年、店の改装がすすんだこともあって、以前に増して明るくなった気がする。
その一方で、アソーク通り側の入り口上部にあるネオンは暗く沈んでいる。
昔からあるネオンで、カウボーイ姿の女の子が鞭か投げ縄だかを振り回しているネオンだ。
 
 
 
ソイ23側から入ると、右手にオープンエアのバービアがあり、その隣が有名なバカラというゴーゴーバーだ。
日本人客に大人気で、常に日本人客であふれかえっているという。
 
 
オレは、ほとんどバカラへは行かない。
ママの方針なのだが、やたらと女の子が飲み物をねだるからだ。
それも、ちょっと気を許せばテキーラをダブルでとくる。
ただ、女の子の数が多く、それなりにレベルが高いのも事実だ。
 
 
今のオレのお気に入りは、その隣のシャークだ。
以前は、玉石混交といった感じで、落ち着いて飲める店だった。
最近は方針が変わって、スリムでスタイルの良いダンサーしか基本的に雇わないようだ。
しかし、女の子のレベルが上がったのにも関わらず、ごり押ししてこないところが気に入っている。
 
 
 
まずはアソーク通り側までぶらぶらと歩いて、ソイカウボーイ全体の雰囲気を楽しんだ。
通りには屋台がいくつも出ていて、様々なものを売っている。
運がよければ、象にも会える。
観光客に餌を売って、それを象に食べさせるのだ。
 
 
歩きながら気の向くままに、スージーウォンやドールハウスなどに入ってみた。
どちらも素っ裸のグループと、トップレスのグループが交代で踊る。
トップレスと言っても、パンティーは履いていない。
ステージ周りのカウンター席に座れば、自然と女性の秘部が見えてしまう。
最初のころはドキドキもしたが、もう慣れてしまった。
 
 
しばらくハイネケンを飲んでステージを眺めたが、特に気になる女の子もいなかった。
2つ目のグループが数曲踊ったところで、精算をして店を出た。
時計を見ると、もう12時近かった。
そろそろ本命のシャークへ行ってみるか。
そう思って、ソイ23側へ歩いて行った。
 
 
 
シャークに入ると、けっこう客が入っていた。
日本人らしい客もかなり多い。
どうやらシャークの良さも、それなりに広まっているのだろう。
 
 
ウエイトレスに促されるまま、右側の一番奥の上段の席に座った。
ここはDJの目の前になる。
ソファーにもたれながら、ステージをボーっと眺めていた。
シャークでは2グループが交代で踊るが、どちらもスケスケの上下を身にまとっている。
 
 
 
すぐに、ステージ上からこちらを見て微笑んでいる子が視界に入った。
彼女はたしか、前回来たときに話をした子。
名前は、ボーと言ったはずだ。
少しずつ、1ヶ月前の記憶が蘇ってきた。
 
 
横に座ってきたので、飲み物をご馳走したらビールが飲みたいと言った。
そんなところが気に入って、ちょっと話をしたのだった。
ペイバーはしなかったが、印象に残っている。
胸が小さいのを気にしているのだが、シリコンを入れるのは怖いらしい。
スタイルはいいのだけど、胸が小さいので客から気に入られないのだと思っている感じだった。
 
 
 
そのグループのダンスの時間が終わり、ボーがステージから降りてやってきた。
「サバーイディーマイ?」(元気ですか?)
そうやって、いつもの挨拶を交わした。
 
 
またビールを飲むかと尋ねると、黙ってこくんと頷いて、ニコッと笑った。
その引き込まれるような笑顔を見せてくれるだけで、ビール1本くらい安いものだという気持ちになる。
 
 
ボーとの会話は弾んだ。
彼女は、ダンスの順番がくるとステージへ行き、終わるとまた戻ってきた。
自分から飲み物をねだることはしない。
彼女のビールが空になると、オレはもう一本飲むかと聞いた。
少し遠慮がちで、それでも心から嬉しそうなボーの笑顔を見ると、オレの心も満足感で満たされた。
 
 
いつしか1時半を回っていたようだ。
ボーは、今日はもうこれで終わりだと言った。
そして、彼女はこう続けた。
 
 
「ねえ、私の部屋に来ない?」
一瞬戸惑ったが、オレは彼女の誘いを受け入れた。
「着替えてくるから、ここで待ってて。」
そう言い残して、彼女は2階へ上がっていった。