レインボー2という店に入ると、そこには一段と広いライブハウスのような空間があった。
店内は客がいっぱいいたが、店員がすぐに空いた席へと案内してくれた。
ソファーの席は空いていなかったのか、案内されたのはステージの周りの席だった。
同じようにビールを注文して、ふと周りを見渡してみた。
 
 
「先輩、客のほとんどが日本人じゃないですか?」
「まあな、ここは日本人に有名な店だからな。タニヤのカラオケ、ナナのレインボー、そしてソイカのバカラが日本人御用達の店ってことかな。」
 
「それにしても広いっすねえ。さっきの店の倍くらいあるんじゃないですか?」
「広いだけじゃねえよ。ここは女の子が3グループの交代で踊るのさ。数が多いってことは、それだけ好みの子を選べるってことよ。」
 
 
さっきよりも落ち着いてきたようで、いろいろとよく見えるようになった。
女の子も、けしてかわいい子や美人の子ばかりではない。
ゴリラと言っては失礼だが、ちょっと遠慮したいと思う子も少なくない。
そう言えばさっきのユイという子は、どんな顔をしていたのか、もう思い出せなくなっていた。
 
 
後ろから肩を叩かれたので振り返ると、店員がそこに立っていた。
二人の女の子を連れてきていて、この子達はどうだと勧めているようだった。
 
 
「タク、おまえどうする?」
「いや、先輩どうぞ決めてください。」
「しょーがねえなあ。オレは来る者拒まずだ。OK。」
 
 
マサ先輩がそう言うと、2人はそれぞれボクと先輩の隣に座った。
また名前を紹介し合って、握手をした。
店員が飲み物をと言うので、これもすぐにOKした。
 
 
ボクについた子は、名前をプラーと言った。
どうやらタイ語で魚という意味らしい。
無理に体を押し付けてくるようなこともなく、控えめで、おとなしそうな感じだ。
 
 
しばらくすると、その子たちの踊る順番が来たらしい。
店員が、ペイバーしろとしつこく言ってきた。
 
 
「タク、どうする?」
「いや、先輩、ボクはどっちでも。」
「相変わらずだなあ。時間も時間だし、そろそろ決めないとな。でもまだ2グループしか見ていないから、もう少し待ってみるべ。」
 
 
時計を見ると、11時近かった。
日本との時差が2時間あるから、日本時間ならもう夜中の1時近い。
そう思ってみると、旅の疲れか眠いような気がした。
 
 
途中でトイレに行ったついでに、ぐるっと店内を回ってみた。
でも、こっちが見ると女の子もこっちに注目するので、恥ずかしくなって視線をそらせてしまう。
せっかく店内を回ったのに、ほとんど女の子の顔を見ずに戻ってきてしまった。
 
 
「どうだい、いい子がいたか?」
「先輩、恥ずかしくてまともに見れないっすよ。」
 
「何言ってんだよ、せっかく来たんだから見るもん見とけよ。オレは、さっきの子に決めたぜ。おめえどうする?」
「先輩、ホテルに連れて帰るんですか?」
 
「まあな。もう疲れたし、今日はこのくらいで帰らねえと。明日の朝食は、10時までにホテルのブッフェだかんな。」
「わかりました先輩。じゃあボクもさっきの子を連れて帰ります。」
 
 
店員にペイバーすることを伝えると、すぐにさっきの2人がステージから降りてきた。
マサ先輩もボクもロングにしたいと言うと、女の子はそれぞれOKとのこと。
ペイバー代を支払うと、女の子たちは着替えに行った。
 
 
飲み物代の精算をすると、店員がチップをねだってきた。
マサ先輩は、お釣りから20バーツ札を抜いて店員に渡し、トレーに小銭を残した。
 
 
「おめえ200バーツでいいよ。後は出しとくから。」
「そうすか。すみません。ご馳走になります。」
 
 
しばらくすると私服に着替えた女の子たちが来たので、一緒に店を出た。
レインボー1の先で、この子達もやはり手を合わせて何かを祈った。
なんて信心深いんだろう。
なぜか感動を覚えてしまうのだった。
 
 
ソイ4を右折して、我々はスクンビット通りへと出た。
その交差点を渡ると、ちょっと先に客待ちのタクシーが並んでいた。
女の子は後ろのドアを開けると、ラマ9通りのマックスホテルへ行くことを告げた。
タイでは乗車拒否が当たり前のようにあるので、乗る前に行き先を告げて許可を得る習慣らしい。
 
 
運転手が了承したようで、我々は1台の車に乗った。
マサ先輩が連れ出した子が前に乗り、後ろの奥にマサ先輩、真ん中にプラーという子、手前にボクが乗った。
 
 
ホテルに到着してロビーに入ると、すぐに従業員がやってきた。
女の子たちの身元をチェックして、JFを支払うように言ってきた。
素直に700バーツずつを支払うと、何事もなく連れて入ることができた。
 
 
「タク、じゃあ明日の朝9時半にレストランで落ち合おうぜ。心配は要らないと思うけど、それまでにその子を帰しておいた方がいいぜ。じゃ、おやすみ。」
「わかりました、先輩。おやすみなさい。」
 
 
そう言ってマサ先輩の部屋の前で別れて、ボクは女の子と2人で自分の部屋に入った。