飛行機は、無事にタイ、スワンナプーム国際空港に着陸した。
長い通路をただひたすら歩いてイミグレーション(入国審査)へ向かう。
無事に現地ツアーガイドに会えるだろうか。
そのことの不安から、心臓がバクバクしていた。
 
 
入国審査を無事に通過し、預け荷物を受け取るまでの長いこと。
この前は先輩と一緒だったから、それほど長いとは感じなかった。
延々と待たされて、やっとボクのスーツケースが出てきた。
 
 
それを持って、申告なしの緑のランプの税関カウンターへ向かう。
特に何も言われることもなく、外へと出た。
あとは、ツアーガイドを探すだけだ。
 
 
待ち合わせ場所へ行くと、ツアー名を書いた紙を手にしたガイドらしい人が立っていた。
ボクの胸に貼ったツアーのシールを見せると、すぐにわかってくれたようだ。
あー、良かった。これでホテルまでは安心だ。
 
 
今度も、前と同じマックスホテルだった。
他の客もいるみたいで、旅行客4人でバンに乗り込んだ。
ガイドの話によれば、全員がマックスホテルへ泊まるようだ。
 
 
ボクの他は、定年退職したような中年2人組と、40歳前後と思われる男性だった。
中年2人組みは、バンに乗っている間ずっと、MP(マッサージパーラ)やタニヤのカラオケの話題で盛り上がっていた。
ボクは彼らの話を聞きながら、なんだか大人のいやらしさのようなものを感じていた。
 
 
実際やっていることは、ボクも彼らと変わりはしない。
そもそも風俗遊びが目的で、マサ先輩とバンコクへ来たのだから。
でも、あからさまに女遊びの話をされると、なぜかムカつくのだった。
少なくとも今は、ボクは純粋にルンへの愛のためにバンコクに来た。
そういう自負があったからだ。
 
 
ホテルに到着すると、順番にチェックインを行い、すぐに部屋に案内された。
時間はまだ5時くらいだった。
3泊4日の短い時間が、ボクに許されたチャンスだ。
4日目の朝には、もう帰国しなくてはならない。
それまでに、なんとしてでもルンに会って話をしなければ。
はやる気持ちを抑えながら、ボクはホテルの部屋で時間が過ぎるのを待った。
 
 
時計の針が7時ちょうどになるのを待って出かけよう。
そう心の中で決めていたが、7時5分前にはもう部屋を飛び出してしまった。
タクシーに乗り、ソイカウボーイへ向かうように告げた。
 
 
ソイカウボーイへ向かう道は、全く混んでいなかった。
渋滞が有名なバンコクだが、この時間帯は反対側の車線が大渋滞だ。
あっという間にスクンビット通りに近づき、その手前でボクは降りた。
歩いてソイカウボーイへと入っていったが、なぜか足がガクガク震えるのがわかった。
 
 
3ヶ月前にやってきたソイカウボーイ。
ボクは再びここにやってきたのだ。
ただルンに会いたいがために。
そしてもう目の前に、ルンがいるであろうバカラがある。