ボクは、そっと彼女の太ももに手を置いた。
その瞬間、ボクの手は、彼女の太ももから離れなくなってしまった。
柔らかくて、手のひらに吸い付くようだ。
少しひんやりとしていて木目の細かい彼女の肌は、
ボクの手が離れることを許さなかった。
 
 
彼女は、ゴーゴーバーで働く踊り子だ。
しかも、普通の踊り子ではない。
このバーでは毎晩ショーをやっていて、彼女はそこのトップダンサーなのだ。
 
 
ボクはマサル。32歳になる。
アジアン雑貨を販売する小さな店を、東京でやっている。
仕入れも兼ねて、タイやマレーシア、インドネシアなどへよく出かける。
中でも気に入っているのはタイだ。
夜遊びのメッカともいえるバンコクやパタヤは、ボクの大好きな場所だ。
 
 
ここはバンコクにあるナナプラザ。
スクンビット通りのソイ(小路)4という場所にある。
このバーはナナプラザの2階にあって、エンジェルウィッチという。
天使と魔女という名前だ。
 
 
最初は、パタヤのウォーキングストリートへ行ったとき、エンジェルウィッチというゴーゴーバーへ行った。
そこでもショーをやっていて、ボクはそれがとても気に入った。
そのとき、バンコクにも同じ名前のバーがあると知ったのだ。
それからバンコクへ来たときは、ナナプラザへよく来るようになった。
 
 
10時を回った頃、このバーのショーが始まる。
照明が落とされ、期待が高まる音楽が流される。
「ショーターイム!」というDJの声で、最初のショーが始まる。
 
 
はじめてこのショーを見たとき、ボクのゴーゴーバーに対するイメージが180度変わった。
それまでは、ただカワイイ女の子を選んで連れて出るという、置屋のイメージしかなかったからだ。
それが今では、ゴーゴーバーはエンターテイメントだと思うようになった。
 
 
ナナプラザのエンジェルウィッチへ行くようになって、3ヶ月が過ぎようとしていた。
ボクは、ここのトップダンサーの一人が大のお気に入りだった。
スタイルは細めだが、痩せすぎているわけではない。
少し長面だが、頭は小さい。
背中まで伸ばした黒髪は、アジア人特有の美しさだった。
 
 
そしてこの日、ボクは初めて彼女を席に呼んだ。
ただ見ている立場から、一歩進めたかったのだ。
コーラをご馳走して、彼女がボクの隣に座った。
タイ人の中では白い方だと思われる彼女の肌を見て、ボクは思わず触れてみたくなったのだ。