エーとひとつになったあと、ボクは大きな満足感に浸った。
恋人同士になった日の夜のように、喜びに満たされていた。
しかし、そんな気持ちもそう長くは続かなかった。
シャワーを浴びたあとで、エーはこう切り出した。
 
 
「ねえ、今夜は食事をしてから一緒にバーへ行くでしょ?」
「えっ、バーへ行って何するの?」
「仕事よ。ショーをしなければならないの。」
「まだ辞めてなかったの?辞めるって言うから、お金を送ったのに。」
「だって、ママさんがまだダメだって言うんだもの。」
「ママさんが何と言おうと、関係ないじゃないか。もう1ヶ月だよ。」
 
 
エーは、黙ってしまった。
しかし、ここでエーを責めていても仕方がない。
ボクは、自分の頭の中を整理しなければと思った。
 
 
「わかったよ。今日は一緒にバーへ行こう。
 ママさんへは、ボクが話をするよ。」
「うん。じゃあ私、一度部屋に戻るからね。」
エーはそう言って、ホテルの部屋を出て行った。
 
 
何ということだろう。
せっかく再会したばかりだというのに、ボクはまたむしゃくしゃしている。
1ヶ月前、何のためにお金を送ったのか。
エーにゴーゴーバーの仕事を、辞めさせるためではなかったのか。
ボクは、裏切られたような気持ちでいっぱいだった。
 
 
エーは、夕方にまたやってくると言っていた。
今のままでは、顔を見たら責めたくなる。
どうにかしなければ...。
ボクは、エーにどんな風に話せば良いかを考えた。
 
 
7時を過ぎた頃、エーがやってきた。
どうボクに接したら良いか、少しためらっている感じだ。
ボクは冷静を装って、エーに話しかけた。
 
 
「ボクは、エーのことが大好きだ。だからエーが、他の男と一緒にいるところを見たくない。わかるだろ?」
「わかるわ。」
「だからバーを辞めてほしい。」
「でも、バーに行けば友達もいるし...。ねえ、ペイバーされないから続けてもいいでしょ?」
 
 
ひょっとしたら、ママさんが辞めさせないのではなく、彼女自身が辞めたくないのではないか。
そんな疑いが、ボクの心の中に沸き起こってきた。