相沢の言葉に、ボクは少しムッとした。
いくら年上だからって、そこまで言うことはないだろう。
この人はひょっとして、ボクに嫉妬しているのだろうか。
 
 
「そうですか?たとえばどんなところに、それを感じるんですか?」
「あなたは、無理やりエーちゃんを辞めさせようとしているでしょう。エーちゃんの気持ちを受け入れようとか、理解しようとかしていないでしょ?」
「そんなことはないですよ。友達がいなくて寂しいという気持ちは、ボクだってわかりますよ。だから結婚しようって言ったんですから。」
「結婚すれば、彼女の寂しさは解消するのでしょうか?」
 
 
たしかに、それはそうかもしれない。
結婚しても、昼間ボクは仕事ででかける。
彼女は一人で過ごすことになる。
でも、夜はいつもボクと一緒だ。
それで十分とは言わないが、それくらい我慢してほしい。
 
 
「まあ、十分ではないですけど、毎晩ボクと一緒ですから。」
「それは本当に彼女の為になっていますか?それとも、あなたの満足の為ですか?」
「なに言っているんですか?二人のためですよ。そうじゃないですか?それとも、ボクが自分の欲求を満たしたらそれは愛情じゃないとでも言うんですか?」
 
 
否定ばかりされている気がして、ボクは少し興奮してきた。
相沢には不思議な魅力を感じる一方で、少し疎ましく感じることも多かった。
 
 
「あー、怒らせちゃったらごめんなさいね。そういうつもりじゃないから。」
 
 
そう言うなり、相沢は黙ってしまった。
ボクも、相沢の方を見ずに、ステージの方を見た。
でも、頭の中はずっと、相沢との会話を引きずっていた。
 
 
むしゃくしゃする。
最初は受け入れられていると感じたのに、今はその逆だ。
ボクがエーを愛していないだって。冗談じゃない。
お前に何がわかる。偉そうにしやがって。
 
 
心の中で、ずっと相沢に文句を言い続けた。
ただそうしても、ボクの気持ちが晴れることはなかった。